デスクトップスピーカーを自作してみよう!!(その2)
PPTUNEの有効活用
以前、PPTUNEなるアンプモジュール&スピーカーモジュールをゲットしたネタをアップしたが、その後放置プレイ状態にしていた俺様。
で、あまり放置しておくのもかわいそうなので、有効活用を考えてみた。
- アンプモジュールはコンデンサーの交換で音質向上というネタが多数あるっぽい
- スピーカーモジュールは専用のエンクロージャを与えて鳴らしまくるというネタがこれまた多数あるっぽい
...有効活用といってもこれくらいしかないようだが、現時点ではアンプの方はそれほどニーズがないので、スピーカーモジュールに新しいエンクロージャを与えてやることにした。
で、ありきたりのエンクロージャではつまらないので、何かこう面白いネタはないもんかと考えていたところ、ふとお茶の間パソコンに目がいった。
現在、お茶の間パソコンのサウンドは、液晶ディスプレイである「Buffalo FTD-G723ADSR」の内蔵スピーカーに頼った状態。
しかし、しょせんディスプレイ内蔵スピーカーはディスプレイ内蔵スピーカーであり、音は非常にしょぼかったりする。
なので、外付けのスピーカーをこしらえて、サウンドを強化してみたいという欲求がふつふつと湧いてきた。
ということで、今回はお茶の間パソコンのためのスピーカー作りに挑戦!!
スピーカーのデザイン
さて、お茶の間パソコンにはどのようなスタイルのスピーカーがお似合いなんだろうか?
- 普通のステレオのスピーカーであれば、出来合いのやつを使えば良いのでつまらない
- 俺様的にはここはやはり、マトリックススピーカーでいってみたい
- PPTUNEの超小型スピーカーを使ったマトリックススピーカー...なんだか面白そう
ということで、あまり深く考えずにマトリックススピーカーを作ることに決めた。
パソコン用のマトリックススピーカーといえば、以前作ったデスクトップスピーカーがあり大活躍してくれているが、これのダウンサイズ版を作ってやれば良いのではないかと考えた。
しかし、一つだけ問題が...それは、設置スペースの問題だったりする。
お茶の間パソコンのディスプレイは、諸般の事情により机の上ではなくカラーボックスの上に置いており、背面のスペースが全く取れない状態。
なので、単にデスクトップスピーカーをダウンサイズしても設置できない可能性が非常に高かったりする。
どうしたら良いもんかとお茶の間パソコンを見詰めていた俺様...液晶ディスプレイとキーボードの間の空間に着目してみた。
液晶ディスプレイとキーボードの間の空間、サイズはだいたい高さ12cm×幅37cm×奥行き12cm位なので、その空間にぴったりと収まるサイズのマトリックススピーカーを作ってやれば良いかも。
...ここまできて、俺様の脳裏に、あるスピーカーが浮かんできた。
そのスピーカーとは、長岡鉄男先生がかつて発表したデスクマン(オリジナルはディスクマンとネーミングされているが、デスクマンが正しいと思う)であり、そのマトリックスバージョンであるMXデスクマン、MX-30だったりする。
- 机の上にのせて使うスピーカー、E-15デスクマンのMXバージョン
- 傾斜バッフルに3本のユニットを取り付ける最もシンプルなマトリックス
- 音場感抜群
そうそう、このMXデスクマンをダウンサイズしてやれば俺様のニーズにぴったりと一致するかも。
で、ダウンサイズということで、さっきの設置予定の空間のサイズ、高さ12cm×幅37cm×奥行き12cmに収めれば良いのでさくっとデザインしてみた。
- 合板はオリジナルと同じくMDFの9mm厚を使用し、サイズは300mm×450mm×1枚と非常にローコスト
- 横幅は、ディスプレイとキーボードのサイズを考慮し30cmとする(オリジナルのサイズは64cm)
- 他のサイズも全て半分程度にしてやればバランスが取れるっぽい
- 結果として、高さ10cm×幅30cm×奥行き9cmという、オリジナルの各寸法の二分の一のサイズという小さなエンクロージャになった
- エンクロージャのタイプとしてはごく普通の密閉タイプ
- アンプは、ディスプレイ内蔵のアンプを使用する → ディスプレイを改造する必要あり
この新しくデザインしたスピーカーに、デスクマン改というネーミングをすることにした。
事前準備
デザインも終わったので、いよいよ材料の調達。
最低限組み立てに必要なものは以下のとおり。
- MDF合板 → ミリ単位のカットが必要となり、ここはやはりハンズの大宮店に頼ることにした
- PPTUNEのスピーカーモジュール → マトリックス接続なので、3個必要
- スピーカーターミナル → 4Pタイプ
- スピーカーケーブル → 少々
- 吸音材 → なくても大丈夫なようだが、気休めに少量入れてみる
- 木工用ボンド → 少量
- 水中ボンド(コーキング剤) → 少量
例によってハンズの大宮店では斜めカットをしてくれないので、自分でやる必要がある。
あと、スピーカーターミナルの取付け用の穴も自分であけること。
PPTUNEのスピーカーモジュールには、小さなプラスチック製のエンクロージャ(バスレフ)が付属しているが、それを取っ払って使うことにする。
スピーカーモジュールを取り付ける穴のサイズは45mmでちょうどいい感じだが、少々隙間ができるので隙間を埋める必要があるかも。
今回の工作で一番面倒なのは、実は側板の斜めカットだったりする。
ま、あとで塗装するとかシートを貼るなら多少精度がいい加減でも大丈夫(^^;)。
組み立て開始
それでは、準備もできたので組み立ての開始。
組み立てといっても、赤子の手をひねるより簡単だったりする。
エンクロージャの形状が特殊であり、ハタガネを使えないし釘も使えないけどサイズが小さいのでそう問題はないかも。
吸音材というか、グラスウールは本来不要っぽいが、気休めに底面に軽く使ってみる。
組み立てた段階でエンクロージャに隙間が2箇所できるので、水中ボンド(コーキング剤)でしっかりと埋めてやる。
あとは、俺様お得意の木目シート貼りをやり、スピーカーターミナルを取り付け、スピーカーユニットを取り付け...完了。
設計したとおりのサイズ(当たり前)だが、我ながら非常に美しい仕上がりで、コンパクトにまとまったのでなんだか嬉しいかも(^^;)。
スピーカーの重量は実測で637gであり、少々(かなり?)軽いが気にしない気にしない(^^;)。
液晶ディスプレイの改造
スピーカーは完成したので、次に液晶ディスプレイの改造に取りかかることに。
改造といっても、内蔵スピーカーへの出力を外に出してやるだけだったりする。
それでは分解開始。
まず最初に、ディスプレイの左右サイドにあるネジを4本取り外す。
ネジは黒いシールで目隠しされており判りづらいので注意。
次に、ディスプレイの中央付近にこれまた隠しネジが4本あるので、それらを取り外す。
で、背面のカバーを上に持ち上げると、めでたくディスプレイ内部へのアクセスが可能となる。
次に、ディスプレイ下部にあるスピーカーへの配線を探す。
内蔵スピーカーは非常に小さく、楕円の形状。定格入力は2Wと大きめかも。
最初、アンプからの出力を内蔵スピーカー/外部スピーカーへスイッチで切替えするかと考えたが...面倒くさいので(^^;)、外部スピーカーへの出力オンリーでいくことにした。
なので、内蔵スピーカーへの配線を途中でぶった切って、外部に引き出すように加工。
これでディスプレイの改造完了=準備完了。
MX-30デスクマン改の試聴
それでは、試聴することに。
液晶ディスプレイのスタンドは平らなので、そのまま上にデスクマン改を置くことができる。
ディスプレイからの出力をデスクマン改に接続し、鳴らしてみる...ソースは、インターネットラジオ。
...やはり、内蔵スピーカーに比べ、非常にクオリティが高い。
さすがに低音はあまり出ないが、それらしい雰囲気はあるし、高音はとてもきれいだったりする。
また、マトリックススピーカーだけに、ソースによっては広大な音場が再生され聴いていて非常に楽しい。
PPTUNEのスピーカーモジュールは素質が良いようで、エンクロージャ次第でかなりのパフォーマンスが出せることを確認した俺様。
余談というか蛇足
ところで、PPTUNEのスピーカーモジュールのスペックはどんなもんだろうか。
わかっていることは、サイズとインピーダンスだけだったりする。
- 35mmフルレンジダイナミック型
- インピーダンス4Ω
- 特殊な接合構造(特許出願中)を有しており、コンパクトながらも安定した音質を実現
ここで、俺様なりに勝手に残りのスペックを推測してみたい。
参考にしたスピーカーは、フォステクスのFE103E。
スペック FE103E PPTUNE a(mm) 40.0 12.5 mo(g) 2.10 0.21 Qo 0.35 1.00 fo(Hz) 80Hz 200Hz 有効振動面積 50.24 4.91
...全てのスペックが、俺様の勝手な推測に基づくものだったりする(^^;)。ま、そう大きく外してはいないと思うけど。
で、このスピーカーの周波数特性を推測してみたい。
エンクロージャの容積を計算してみると、約1.2リットルとなるので、以上のデータをSPEDに入力してみると...
内容積が小さいせいもあるが、300Hz以下急降下の特性となっているっぽい。
ま、これはパソコンとかディスプレイのトーンコントロールで調整してやれば良いかも。
ということで、大成功と言っていいかも知れないデスクマン改。
俺様的に満足のいくPPTUNEの有効活用となりましたとさ。