マルチフレアー構造のスピーカーを作ってみよう!!
10F10の再登板
昨年、押入れの中から発掘した「Technics EAS-10F10」だが、何か適当なエンクロージャを作って鳴らしてやりたいという思いが強くなっていた。
そんな時、コンパクトなステレオが欲しいというリクエストを長男から受けた...願ったり叶ったりという諺は、正にこういう時に使うのか?
ということで、非常に都合の良い口実というか大義名分ができた俺様、10F10を再登板させるべく画策を開始した。
エンクロージャの形式
まずは、エンクロージャをどうするか考えてみた。
- 10F10は、メリハリのある明るい音で密閉・バスレフ・ダブルバスレフ・バックロード・共鳴管等なんでも使えるユニット
- 10cmというユニットのサイズからは想像できないような低音を狙いたいということで、ダブルバスレフかバックロードあたりが候補になるが、いずれもエンクロージャが巨大になるので厄介かも
...ここで、以前から気になっていたエンクロージャ形式が脳裏に浮かんだ。それは、「マルチフレアー構造」というやつ。
- 元々は、太めの塩ビ管を利用したバックロード=スパイラルホーンだった
- 段々と姿を変えて、角型スパイラルホーンへと進化した
- 現在は、マルチフレアー構造へと進化している
マルチフレアー構造は、以下の特徴があるっぽい。
- コンパクトなサイズ
- エンクロージャ内で、折れ曲がった数個の漏斗状構造をしており、良質な低音が得られる
- 傾斜した板は有害な定在波を防止するのに有効
- 吸音材は基本的に不要
- サブウーファーの必要性を全く感じさせない低音
- 角型スパイラルホーンに比べて、作成が容易
コンパクトなサイズで低音が狙える、でもって製作が簡単であれば文句なしなので、マルチフレアー構造に挑戦してみることにした。
設計というか板取り
マルチフレアー構造のページを穴の開くほど読んで、最終的にターゲットとなった形式は、「Helix-HMF170(10cmユニット用)」というやつ。
15mm厚合板を使用し、サイズは280mm(高さ)×200mm(横)×240mm(奥行き)とコンパクト。
で、方眼紙を使って板取りを考えてみた。900mm×600mmの合板が2枚で済みそう。
準備するもの
板取りもできたので、近所のドイトに行ってラワン合板(15mm厚)を購入し、カットを依頼した。
ユニットを取り付けるためのバッフル穴(φ106mm)と、背面のダクト穴(φ30mm)のみ穴あけを依頼する。
スピーカーケーブルを通す穴と、スピーカーターミナルの穴はサイズが小さいので自分で開けることにした。
あと、追加で購入したのは六角穴付きボルト(M4×10mm)と、鬼目ナット(EM4×10mm)。スピーカーターミナルは手持ちのものを流用。
組立て開始...
合板のカットが難なく終わり、喜び勇んで自宅に持ち帰った俺様。
...実は、ここにでっかいトラップがあったのだが、この時点では気付かなかった俺様だったりする。
準備が整ったので、スピーカーケーブルを通す穴とスピーカーターミナルの穴を開け、早速組立てを開始した...が、ここで致命的な、でっかいトラップに引っ掛かってしまった。
なんと、バッフル穴の径が指示したサイズよりでかい(^^;)。
10F10のバッフル穴の径はφ106mmだが、明らかに直径で1cm以上でかい。
これでは、ユニットを取り付けることができない。
...カットをしたその場でサイズを確認すればよかったのだろうが、まさかそんな初歩的なミスをやってくれているとは、全く気付かなかった。
仕方が無いので、再度ドイトに行ってフロントバッフルのみ調達した。はぁ...
...気を取り直して、組立てを進める。
フレアーの位置は決まっているので、予め板に鉛筆とかで位置を書いてやると後々楽かも。
また、フレアーは斜めに取り付けるため、隙間ができるがそこはバスコーキング剤とかで埋めること。
一つだけ失敗したところがあるが、それは、スピーカーケーブルを通す穴。
フレアーのど真ん中に穴を開けたが、フレアーは上下に取り付けることになるので穴が波打ったようになってしまった(^^;)。
なので、スピーカーターミナルはエンクロージャの一番下に取り付けることにして、フレアーの穴は最小限の個数で済むようにした方が良いかも。
なお、スピーカーケーブルを通す穴も気密性を確保するために、最後にバスコーキング剤とかで埋めること。
木工用ボンドはたっぷりと使い、ハタガネでしっかりとエンクロージャを固定してやる。
最後に、鬼目ナットをねじ込んで、ビニールシートを張り込んで、スピーカーユニットを取り付けて、スピーカーターミナルを取り付けて製作完了。
完成と試聴
ということで、色々なトラップが発動したが、最終的にできあがったマルチフレアー構造のスピーカー。
早速お茶の間のシステムに接続し、まずは低音がどんな具合か、いきなり「脅威のコントラバス・マリンバ」を再生してみた...10F10の持っている明るい音色はそのままで、エンクロージャのサイズからは想像できないような低音が出てくる。
で、大音量でも全然破綻がなく、正直びっくりした。一体、どういう仕掛けなのか?手持ちのCDであれこれ試してみるけどおんなじ鳴りっぷり。
サブウーファーの必要性が感じられないという触れ込みに嘘偽りは無いかも。
ということで、今回の「マルチフレアー構造」のスピーカー製作は、結果として大成功。
ちなみに、掛かった費用は以下のとおり。ほとんど手持ちのものを使用したために、非常に安価に作ることができた。
アイテム | 品名 | 個数 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
スピーカー | Technics EAS-10F10 | 2本 | 手持ち | 手持ち | 手持ちのものを使用 |
スピーカーターミナル | 不明 | 2個 | 手持ち | 手持ち | 手持ちのものを使用 |
ラワン合板 | 15mm×600mm×900mm | 2枚 | 1,780円 | 3,560円 | ドイト与野店 |
六角穴付ボルト | M4×10mm | 8本 | 128円 | 128円 | ドイト与野店 |
鬼目ナット | EM4×10mm | 2袋 | 168円 | 336円 | ドイト与野店 |
合板カット代金 | 直線カット+穴開け4個 | 1式 | 700円 | 700円 | ドイト与野店 |
バスコーキング剤 | 適量 | 適量 | 手持ち | 手持ち | 手持ちのものを使用 |
木工用ボンド | 適量 | 適量 | 手持ち | 手持ち | 手持ちのものを使用 |
スピーカーケーブル | 適量 | 適量 | 手持ち | 手持ち | 手持ちのものを使用 |
このまま長男に渡すのは非常に惜しい気もしたが(^^;)、しぶしぶ予備機であるONKYO CR-185と共に里子に出してやった...達者で暮らすんだよ。
...機会があれば、是非とも他のユニットで再度「マルチフレアー構造」に挑戦してみたいと思った俺様でしたとさ。