Compaq dx6120のCPU換装 → 成功編

約1年ほど前、dx6120さんのCPUを換装するためにマイクロコードの更新に挑戦して失敗した俺様。

今回懲りずにまた挑戦してみたのだが、見事に成功したので備忘?の意味でアップしておく。

まずは現状把握。

  • CPUはIntelのPentuim4 530、Prescottコアでクロックは3.00GHz(200MHz x15、FSB800MHz)
  • Hyper-Threadingにも対応しているが、TDPが84Wとかなりの大飯喰らい
  • dx6120のBIOSバージョンは最新版の1.09Rev.A(2008/08/14)
  • マイクロコードバージョンは1.09とあるが、このバージョンは公式に存在していないっぽい? → HPのサイトでは最新が1.10で、その前が1.08だったりする
  • マイクロコードを最新の1.10にバージョンアップしてみても、なぜか正常にバージョンアップされずに1.09のまま
  • BIOSバージョン1.09+マイクロコードバージョン1.09の組み合わせだと、Pentium4シングルコアの最終版であるCedarMillに換装してみても電源投入直後にエラーが出てしまい全く起動せず

下が入手したPentium4シングルコアの最終版である631(3.00GHz(200MHz x15)、FSB800MHz、キャッシュ2MB、TDP 65W(D0))だが、そのままではエラーが出て起動せず。

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折角の高性能CPUなのだが...。

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プロセッサが使えないという諸行無常なエラーが出る。

マイクロコードをPentium4 631に対応しているVer.1.10にバージョンアップしてみても、なぜか1.09のまま。

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どうやってもバージョアップできない罠。

ここで、マイクロコードの改定履歴を調べてみると...

≫ バージョン: 1.10 A (31 7 2006)

機能強化

* Updates Intel Pentium 4 Processor microcode for F34, F41, F43, F49, F4A, F64, and F65 steppings.

≫ バージョン: 1.08 A (14 10 2005)

機能強化

* Updates Intel Pentium 4 Processor microcode for F34, F41, F43, F49, and F4A steppings.

≫ バージョン: 1.07 A (6 5 2005)

≫ バージョン: 1.05 A (5 11 2004)

機能強化

* Updates Intel Pentium 4 Processor microcode for F41 and F34 steppings.

...やっぱり、Pentium4 631(ステッピングはF65)に対応しているマイクロコードはバージョン1.10しかない。

さて、どうしたらマイクロコードを最新のやつにバージョンアップできるのか?

色々と悩んでみたが、試しにBIOSをバージョンダウンしてみて、それからマイクロコードをバージョンアップしてみることにした。

BIOSの改定履歴を調べてみると...

≫ バージョン: 1.09 Rev. A (14 8 2008)

機能強化

* Improves the security of pre-boot authentication (BIOS-based) passwords by clearing data from volatile memory.

≫ バージョン: 1.08 A (18 5 2006)

機能強化 * Adds support for Intel Pentium 4 631, 641, 651, 661 Processors.

≫ バージョン: 1.07 A (6 9 2005)

機能強化

* Adds support for the Restriction of Hazardous Substances (RoHS) version of the HP Compaq Business Desktop dc5100 Small Form Factor model. This support includes thermal fan curve adjustments.

≫ バージョン: 1.06 A (22 4 2005)

機能強化

* Adds EIST runtime power management support for Intel 600 Series Processors.

* Adds L2 Cache size of 2 MB to support Intel 600 Series Processors.

* Adds microcode update for Intel E0, D0, and N0 stepping processors (F34, F41, and F43).

* Adds support for Intel Vanderpool Technology (VT).

≫ バージョン: 1.02 (28 3 2005)

≫ バージョン: 1.02 A (28 1 2005)

バージョン1.08から正式にPentium4 631に対応しているっぽいが、念のため1.06からスタートすることにした。

で、さくっとBIOSを1.06へバージョンダウン。

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しっかりと1.06へバージョンダウン完了。

この状態で、試しにマイクロコードを1.07にバージョンダウンしてみる...何と、しっかりと1.07にバージョンダウンできた!!

で、調子に乗ってマイクロコードを1.10にバージョンアップしてみると...これまた何事もなかったかのように1.10にバージョンアップできた!!

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見事に1.07にバージョンダウン成功。

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で、遂に1.10にバージョンアップできた!!

この後にBIOSをバージョンアップしてみたが、結果としてBIOSバーション1.08以降ではPentium4 631を起動できないことが判明したので、1.07で打ち止めにした。

ということで、最終的にBIOSバージョン1.07+マイクロコードバージョン1.10の組み合わせで行くことに...いよいよCPU換装だ!!が、CPU換装自体は非常に楽ちんにできた。

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純正のCPUクーラーを外す。

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CPUを換装してシリコングリスを塗ってやる。

新しいCPUは低消費電力&低発熱仕様になっているが、折角なのでCPUクーラーとCPUファンも交換することにした。

  • CPUクーラーはML115純正のやつを流用
  • CPUファンはML115で使っていた12センチファン「GentleTyphoon」+ユニバーサルファンアダプタ「クール★ギア」を流用

ファンのサイズがでかく、きちんと取り付けることができるかどうか不安だったけど、何とか収めることができた。

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でっかいヒートシンクとでっかいファンの組み合わせ。

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ミニタワーだが、何とか無事に取り付け完了。

以上でハードウェア的なCPU換装は完了であり、目出度くdx6120さんも正常に起動するようになったが、もう一つやることがある。

それは、CPUクロックを動的に変化させてみるということ。

ご存知のとおり、Pentium4はPrescott-2M(いわゆる600番台)から、拡張版 Intel SpeedStep テクノロジ(いわゆるEIST)という機能が搭載されている...これは元々モバイル版のPentiumに搭載されていた機能だが、デスクトップ版にも採用されるようになった。

なので、この機能を使えば、負荷に応じて動的にCPUクロックを変化させることができ、アイドル時には低消費電力=エコ駆動となり精神衛生上非常によろしくなるかも。

HPのウェブサイトにはEISTを使わないようにする設定が記載されているが、裏を返せばEISTを発動させるためには、BIOSでの設定とOS(Windows)の設定が必要っぽい...更には制御するためのソフトウェアが必要。

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EISTを使わない場合の設定が記載されているが、逆のことをすれば使えるということだったりする。

では、BIOSの設定から。

BIOSの設定項目の中に「OSの電源管理」というものがあるが、その中の「実行時の電源管理」という項目を「有効」に、また「アイドル時の節電」という項目を「拡張」に変更して設定を保存する。

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システム情報。既に新しいCPUが認識されている。

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上の2項目の設定を変更して保存してやる。

次はOSの設定。

WindowsXPのコントロールパネルの「電源オプション」のプロパティの中に「電源設定」というタブがあるが、その中の「電源設定」という項目を「ポータブル/ラップトップ」に変更してやる。

この項目が「自宅または会社のデスク」とか「常にオン」とかだと駄目っぽい。

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電源管理の方法を節電優先のタイプに変更してやる。

ここで一発Windowsを再起動してやり、今度は制御するためのソフトウェアを仕込んでやる。

そのソフトとは、俺様宅のお茶の間パソコンに仕込んでおり実績のある「CrystalCPUID」だったりする。

具体的な設定方法はこちらを見てもらいたいが、AMD製のCPUとは若干設定が異なるので注意。

俺様は、最高速と中間速は倍率15倍、低速は12倍で設定してみた...あまり倍率差がないが、仕方がないか。

ついでに電圧も微妙に設定を変えている...効果があるかどうかは謎だが。

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お馴染み、CrystalCPUIDのメイン画面。現在はデフォルトの設定。

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ついでにVIDの設定も変更してみたが、効果があるかどうかは謎。

さて、全ての設定が完了したっぽいので、実際にEISTが機能しているかどうか確認してみる。

まずは、Windowsのシステムのプロパティを見てみると...確かにクロックに変化があるのが分かる。

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右下の実クロックの表示が3.00GHzではなく2.39GHzになっている。

念のため、「CrystalCPUID」のリアルタイムクロック表示で確かめてみると、やはりクロックが変化している...こうかはばつぐんだ!!

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負荷が掛かっている状態で、最高速。

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アイドル状態で、低速。

...無事にEISTが機能していることが確認できた...非常に嬉しい。

最後にベンチマークを取ってみた。ベンチマークソフトはこれまたお約束の「HDBench」。

結果は以下のとおり。

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ベンチマークを取ってみたが、前のCPUより遅くなっているのはご愛嬌?

★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name
Processor Pentium4 2990.50MHz[GenuineIntel family F model 6 step 5]
Cache L1_D:[0K] L1_I:[12K]
Name String Intel(R) Pentium(R) 4 CPU 3.00GHz
Processor Pentium4 2990.50MHz[GenuineIntel family F model 6 step 5]
Cache L1_D:[0K] L1_I:[12K]
Name String Intel(R) Pentium(R) 4 CPU 3.00GHz
VideoCard Intel(R) 82915G/GV/910GL Express Chipset Family
Resolution 1280×1024 (32Bit color)
Memory 2088,380 KByte
OS 5.1 (Build: 2600) Service Pack 3
Date 2010/09/26 14:20

ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
60585 152614 173257 247397 106085 195095 59

Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write RRead RWrite Drive
26916 34975 7553 142 41457 32757 18354 18457 C:100MB

...逆に少し遅くなっているような気が(^^;)。

しかし、2次キャッシュが2MBとPentium4 530に比べて倍増しており、TDPも84Wから65Wへと激減、さらにEISTによりエコ駆動といいこと尽くめなので気にしない気にしない。

ということで、1年越しの課題(?)が解決できて非常に達成感のある俺様、これからもがんがんと使ってやる予定でしたとさ。