FE103のエッジを修復してみよう!!

経年劣化?

我が家の2階にはまともなオーディオシステムがなかったが、諸般の事情によりONKYO製のCDチューナーアンプであるCR-185IIをオークションにてゲットした。

で、早速ブツが到着したので、動作確認のために、2階の子供部屋に放置していた長岡鉄男先生設計のマトリックス・スピーカーであるMX-14を引っ張り出して接続してみた。

で、電源を入れると...音が出た。出たけど、なんか音に力が入っておらずヘナチョコな感じ

一体何がおかしいのかとスピーカーをよく見てみると...3本のスピーカーユニット全てのコーン紙の外周に円状の滲みが出ていて、エッジ(布製)が剥離した状態になっている

恐らく接着剤が何らかの原因(高温多湿?)で溶け出してしまったのがエッジ剥離の原因であり、エッジが効かないのでヘナチョコな音になっていたようで。

このマトリックス・スピーカーに使用しているスピーカーユニットはフォステクスのFE103だが、ネットで調べてみるとエッジの剥離は割りとよくあるケースらしい。ま、もう10年以上前に作ったスピーカーなので仕方がないといえば仕方がないのか?

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コーン紙の外周に怪しい滲みが出ている。

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コーン紙とエッジが見事に剥離している。

一般ピープルであればスピーカーユニットを全て新しいやつに交換して、あ~ちゃんと音が出たね、はいお終いという落ちにするだろうが、当然俺様はそういったありきたりな落ちにはしない。

磁気回路は正常であり、コーン紙にもそうダメージがないのであれば、コーン紙とエッジを再度接着してやるだけで容易に復活が可能であると考えた。

俺様のアプローチ

ということで、今回のミッションは以下のとおり。

  • コーン紙とエッジの接着
  • コーン紙の着色

コーン紙とエッジの接着はお約束としても、接着剤が滲んだコーン紙は外観が美しくないのでついでに着色もすることにした。

まずは、スピーカーユニットをエンクロージャから取り外す。これは木ネジを外すだけなのでとっても簡単。

当然スピーカーユニットにはコードが配線されているので、半田ごてを使って取り外してやる。

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取り外したFE103。久し振りに裏側を見たかも。

次に、先のとがったもの(爪楊枝)を使ってコーン紙とエッジを完全に分離してやる。コーン紙に傷をつけないように慎重に行なうこと。

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爪楊枝をコーン紙とエッジの隙間に入れて、ゆっくりと分離。

最終的に、俺様は分離したエッジを全てコーン紙の背面に移動してやった。その方が何となく外観が美しいような気がしたから。逆にコーン紙とエッジの接着は面倒になるが。

改めてよく見てみると、円状の接着剤の滲みはかなり汚い。早くキレイにしてやりたいと思った。

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エッジを完全に分離し、コーン紙の背面に移動してやった。

意外な着色剤の候補

まずは、コーン紙の着色から行なうことにする。コーン紙の着色って、一体何を使えば良いのか?

  • 色は黒が一般的かも。緑色のコーン紙とかはいやだ(^^;)
  • 着色剤はコーン紙に悪さをしないもの=水溶性で、コーン紙の重量増加につながらないものが良いかも
  • 乾きが早いものが良いかも

ネットで調べてみると、コーン紙の着色剤としてポピュラーなのは墨汁らしい。我が家にも墨汁の在庫はあるので、すぐにでも取り掛かれるのだが、デメリットとして「墨汁だとカビが生える可能性がある」らしい。

せっかく着色しても、アオカビとかで再着色されるのはいやなので、別の着色剤を考えることにした。着色剤は市販もされているが、買うのは何となくもったいないような気もした。

で、部屋の中をぐるりと見渡してみると...ありました、着色剤の候補が。

それは...インクジェットプリンタの詰め替え用の黒インク。墨汁と同じ機能で、恐らくカビは生えないだろうと判断

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突然着色剤の候補に躍り出た、詰め替えインク。

ということで、刷毛で黒インクをぺたぺたとコーン紙に塗っていく。コーン紙の外周は接着剤が滲んでいるが、これがインク(水溶性)をはじくようなので、用心のために重ね塗りをした。

が、これが裏目に出たようで、2~3日経ってもインクが乾かない(^^;)。仕方がないのでドライヤーでコーン紙を乾燥してやった。やはり、着色剤には専用のやつを使うのが近道かと反省。

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インクを塗っている最中。図画工作みたいで楽しいかも。

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インク塗りたての状態。なかなか乾かない。

コーン紙とエッジの接着

着色剤(インク)が乾いたら、木工用ボンドでコーン紙とエッジの接着を行なう。

エッジはコーン紙の背面に移動しているので、エッジの外周(コーン紙と接する部分)にボンドを多めに塗ってコーン紙と接着する。

ボンドの塗り漏れがあると気密性に問題が出るので、スピーカーユニットの裏側(フレームの隙間)から爪楊枝でエッジをちょいちょいといじって、ボンドがきちんと行き渡るように調整してやる。

あとは重し(10円玉)をコーン紙に乗せて1日程度放置すると、出来上がり。

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ただいま接着中のコーン紙さんとエッジさん。

あとは、スピーカーユニットを元通りに取り付けするだけ。配線もきちんと行なうこと。

最終的に復活したマトリックス・スピーカー、外観はかなり精悍になったかも。

肝心の音は...ようやく本来の音を出してくれた!!が、以前にも増していい感じ。ばっちりとサラウンド効果も出ている。

ということで、今回のミッションは大成功。着色剤の選定さえ気をつければ、見た目も良くなるし本来のサウンドも復活する。

お手元にエッジがいかれたスピーカーをお持ちのアナタ、挑戦する価値はありまっせ!!あ、エッジの材質がウレタンの場合はこちらをどうぞ。

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長年の眠りから蘇ったマトリックス・スピーカー。やったね!