デスクトップスピーカーを自作してみよう!!(きっかけ編)
忘れていた、大切なもの
最近、大宮の東急ハンズによく通うようになった。開店した当初はあまり興味がなかったが、一度行ってみたら俺様の心の琴線を激しく鳴らしまくるアイテムがあちこちに仕掛けられていて、お約束のようにがっつりとハマってしまった(^^;)。
で、あるコーナーに学研の「大人の科学」シリーズのバックナンバーがあるのだが、そこに特別編集版である「まるごと手作りスピーカーの本」が何冊か置かれていた。
この本のコンセプトは、7cmフルレンジスピーカーユニット(フォステクス社謹製)を自作し、なおかつエンクロージャも自作しようというもの。
で、冊子には俺様が尊敬する長岡鉄男先生のネタや、世の中のオーディオマニア(猛者)の作品紹介、プロによるオリジナルエンクロージャの作成などマニアには涙もんの記事が満載されている。
この特別編集版が発売された当時(2005年7月)、何が何でも購入したいと思っていたが、いつの間にか年月が流れ、しっかりと忘れたところでの偶然の再会。
こりゃもう買うっきゃないでしょ、そうでしょと、2セット購入。なぜ2セットかというと、1セットにスピーカーユニットのキットが1つしか入っていない=ステレオにならないから。
...普通、こういうのはペアで必要だろうが。ペアにしてもっと安く提供してくれ>学研さん。冊子は2冊も要らない。
特別編集版の中身
ということで、早速自宅に持ち帰って中身を検分してみる。
下の画像が、スピーカーのコーン紙&エッジの部品。このユニットを格納しているケースである段ボール箱でもエンクロージャを作成可能。
で、下の画像が、スピーカーユニットを構成する各種部品。
付録のスピーカーユニット(7cmフルレンジ)のスペックは以下のとおり。ついでに、フォステクス社のベストセラーユニットであるFE83Eのスペックも載せておく。
項目名 | 規格 | 備考 | 参考(FE83E) |
---|---|---|---|
インピーダンス | 8Ω | ごく一般的な値 | 8Ω |
最低共振周波数 | 150Hz | いわゆるfo(Hz) | 140Hz |
再生周波数帯域 | fo~30kHz | かなり高域まで再生可能 | fo~30kHz |
出力音圧レベル | 85db/W(1m) | このサイズのスピーカーとしては普通 | 88db/W(1m) |
定格入力 | 6W | このサイズのスピーカーとしては普通 | 7W |
振動系重量 | 1.5g | いわゆるmo(g) | 1.38g |
Qo | 0.74 | foにおける共振の鋭さを示す | 0.78 |
実効振動半径 | 28mm | こんなもんでしょ | 30mm |
マグネット重量 | 74g | 少し軽い(小さい)か? | 140g |
総重量 | 0.23kg | 少し軽いか? | 0.36kg |
バッフル穴径 | 65mm | こんなもんでしょ | 71mm |
マグネットの裏には、しっかりと「フォステクス」のロゴが印刷されている。
冊子の中で紹介されているエンクロージャの形式は色々あり、実際に製作が可能なようになっている。
- ダンボール使用密閉型(デフォルト)
- 平面バッフル
- 後面開放型
- 密閉型
- バスレフ型
- バックロードホーン
また、応用編と猛者達の手による作品も紹介されている。
- 応用編 ~ マトリックス・スピーカー
- 超小型バスレフ → 田中博志氏
- スワン型バックロードホーン → 炭山アキラ氏
- 共鳴管型 → 前田好一氏
普通のマニアであれば、10人中10人が炭山アキラ氏(長岡鉄男先生の正当な後継者とされる)が作成したスワン型バックロードホーンである「ヒヨッこ」のネタに飛びつくかと思われるが、俺様が心を奪われたネタは、「応用編~マトリックス・スピーカー」だったりする。
デスクトップでスピーカー・マトリクスによるサラウンドを実現という、分からない人には全然分からないネタ(^^;)。このような初心者向けの冊子でいきなりマトリックス・スピーカーのネタとは...応用編といっても飛躍し過ぎかも。
現在、俺様が2階のパソコン部屋兼寝室で使っている一号機ことDELLさんには、外付けスピーカーとして「YAMAHA YST-M8」を接続している。
それなりに無難な音ではあるが、無難ということは面白味に欠けるということでもあり、暇があったらUSB接続タイプに改造しようかと考えていた。
しかし、このマトリックス・スピーカーのネタを見たとたん、「YAMAHA YST-M8」を取っ払って、このスピーカーを鳴らしてみたいという衝動がマグマのように湧き上がった=心の奥底に燻っていたスピーカー自作魂が再着火してしまった(^^;)。
こうなると、寝ても覚めても記事が気になってしまい、結局自作する以外に進む道はないだろうと勝手に結論付けてみた(^^;)。
それでは、自作開始ということで。
基本的な考察
マトリックス・スピーカーとは何ぞや?という話はここですると非常に長くなるので、適当に検索してみること。長岡鉄男先生が広めたスピーカー接続「だけ」で実現させるサラウンド再生といったところか。
マトリックス・スピーカー自体はこれまでにも何台か作成しており、エンクロージャ自体の作成は楽勝と思ったが、問題はスピーカーユニットをどうするかということだった。
- オリジナルは、当然付録のスピーカーユニットを使うことが前提となっているが、今回のマトリックス・スピーカーに使うスピーカーの本数は最低でも3本必要となる → 今回、特別編集版を2セットしか購入していないので1本足りない
- 付録のスピーカーユニットは防磁タイプではないので、防磁のためにキャンセルマグネットが必要 → サイズが大きくなり(奥行きが長くなり)、結果エンクロージャにスピーカーユニットが入らなくなってしまう可能性が大
...特別編集版をもう1セット購入するのもなんとなく癪だし、そもそも防磁対策をしたらエンクロージャに入りませんでしたではお話にならない。
ということで、付録のスピーカーユニットさんには別の機会にでも活躍してもらうことにして、他のスピーカーユニットを活用できないかと考えてみた。
- サイズは7cm~8cm
- 防磁型
- スペックは適当(^^;)
スピーカーユニットの選定
色々考えているうちに、パソコンの外付スピーカーのユニットを使えば良いのではないかと気付いた。そもそもが防磁型だし、よくハードオフのジャンクコーナーとかで山積み&捨て値で処分されているので。
早速近所のハードオフに行ってチェックを入れると...富士通製の外付けスピーカー(アンプを内蔵していないタイプ)が3組(6本)、1組当たり315円(税込み)という爆安で売られていたので速攻で買占め(^^;)。全部で1,000円もしないなんて、ラッキーかも。
スピーカーユニットは1台に付き3本必要なので、本来であれば4本=2組あれば十分なのだが、うまくいったらもう一台作るという野望(^^;)があったので6本分=3組も調達した。
なお、スピーカーユニット「だけ」が必要なので、もしアンプが内蔵されているタイプ(=アクティブスピーカー)であってもアンプや付属のACアダプタは使わない。取り外して別の用途に使うべし。
それでは、早速分解してスピーカーユニットを取り外すことに。今回購入した外付けスピーカーは、背面のネジを6本外すだけでサランネットを取り外すことができ、分解もできた。
あとはユニットを固定しているネジを4本外せば問題なくスピーカーユニットをゲットできる。
スピーカーユニットに接続されているケーブルは、取り敢えずニッパでぶった切って、あとで半田ごてを使ってきれいに取り除くこと。
さて、無事に取り外すことができたスピーカーユニットだが、部品番号は「22-0047-9001」とあり、「4Ωで3W」としか記載がない(^^;)。重量は実測で234gあり、特別編集版の付録のスピーカーユニットとほぼ同じ重量。
スペックは全く不明だが、なかなか面構えが良いかも。エンクロージャには内側から取り付けられていたので、フレームが未塗装で格好悪いが、あとで対策を施すことにする。
図面の修正
オリジナルのスピーカーユニット以外のものを使う場合、気を付けたいのが以下の点。
- バッフルに開ける穴の径 → スピーカーユニットのサイズが変わるのであれば当然変更する。また、径が変われば穴を開ける位置自体も検討する必要がある
- スピーカーユニットがきちんと入るかどうかサイズの確認 → スピーカーユニットの奥行きも違うだろうからバッフルの穴の径だけではなく、きちんとスピーカーユニットが納まるかどうか確認が必要
今回使うスピーカーユニットの取り付け穴の径は実測で77mmだった。これはオリジナルが65mmなので、1cm以上も径が広がることになる。なので、左右のスピーカーの穴を開ける位置を1cmだけ内側にずらした。
また、スピーカーユニットのお尻がエンクロージャに干渉しないかどうか、手書きで図面を作成し、スピーカーユニットの現物をあててみた。結果、特に問題なく取り付けができるっぽい。
さて、ここまで来たらあとは実際に組み立てるだけ。ということで、作成編へと続く。