PC-98As2のコンデンサーを貼り替えてみよう!!

突然の音割れと、その原因と対策

久し振りに、4号機ことNEC PC-9821As2さんでもいじろうかなぁと電源を入れ、Windows95を立ち上げた。

いつも通りスタートアップの画面が表示され、起動音がする所で...異変が発生。

...なんだか、ものすごく音が割れている

何かの間違いかと思い、シャットダウンして再度電源投入...状況変わらず。オーディオケーブルの接触不良かと思い接点をクリーニングしてみても状況変わらず。

もしかして音源部分がいかれたのか?しばらく放置プレイ状態にしていたので機嫌が悪くなったとか?

で、ネットで調べてみると、意外な事実が判明。

恐らく、基板上の電解コンデンサーがお亡くなりになっているっぽい。「第三研究所」の「特別企画」 → 「第 5回 電解コンデンサの液漏れ」に非常に詳しい説明があるので参照どうぞ。貴重な情報有難うございます>TRISSさん。

唯一の対策は、基板上のコンデンサーを全て貼り替えるということだけらしい。

ということで、例によって分解(^^;)。

分解と状況確認

まずは、上部カバーを外してリアパネル(?)を外す。それから電源ユニットを外す。

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上部カバーとリアパネルを外した状態。

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電源ユニットを外した状態。

次に、Cバスの籠とCPU&メモリの籠を取り外し、FDDユニットとHDDの籠も取り外す。

ここまでくると、基板の全貌が明らかになる。

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Cバスの籠とCPU&メモリの籠を取り外した状態。

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FDDユニット&HDDの籠を取り外した状態。基板がむき出し。

基板を良く見てみると...黒色の角型のコンデンサが思いっ切り液漏れしている(^^;)。どいつもこいつも同じ状態だったりする。

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思いっ切り液漏れしているコンデンサー。

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こいつらも同じく液漏れ中。しくしく。

部品の調達

で、基板をじっくりと見ながら、コンデンサーの耐圧・容量・数量をチェックする。拾い漏れがあると、再度買いに行かなければならないので、しっかりとチェックすること(経験者談)。

自分のAs2さんの基板は、型番がG8PHDAであり、使われていたコンデンサーのスペックは以下のとおり(順不同)。

スペック数量備考
10μ 16V
5
15μ 10V
10
22μ 16Vで代用
4.7μ 16V
9
4.7μ 50V
3
1.5μ 50V
1
2.2μ 50Vで代用
22μ 25V
2
10μ 25V
2
4.7μ 25V
11
33μ 25V
2
47μ 16V
9
220μ 16V
1
47μ 25V
7
100μ 25V
2

耐圧は必ずオリジナル以上のものを選ぶこと。また、容量が現行の規格には存在していない場合、オリジナルの容量より一つ上の容量のものを選ぶこと。

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漏れがないようにきっちりとチェックすること。

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買い揃えたコンデンサー。頑張ってくれぃ。

ついでに、おまけで電源ユニットであるPU729で使われているコンデンサーについても調査してみた(これまた順不同)。

スペック数量
1000μ 180V
1
22μ 35V
1
1μ 50V
1
0.22μ 50V
1
4.7μ 50V
1
0.47μ 50V
1
470μ 16V
1
10μ 16V
1
220μ 16V
1
470μ 25V
1
220μ 50V
1
2200μ 25V
1

交換開始

まずは、液漏れしているコンデンサを取り外し、アルコールをつけた綿棒等で周囲に漏れている電解液をきれいに取り除く。

次に、基板に予備半田を行なう。

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コンデンサーを取り外した直後。とても汚い。

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きれいに清掃し、予備半田をつけた状態。

最後に、リード線を短く切ったコンデンサーを半田付けする。くれぐれも極性を間違えないように注意すること。

中には丸型のコンデンサーもあるが、この丸型のコンデンサーはリード線を基板から取り外すのが非常に面倒だったりする。

が、そのまま上に引っ張ってやるとリード線を残して抜けるので、残されたリード線に新しいコンデンサーを半田付けしてやる。

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しっかりと張替えされたコンデンサー。

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オリジナルのコンデンサーたち。南無~。

全てのコンデンサーを張替えしたら、再度極性をチェックする。極性が間違っていると故障の原因となるので念には念を入れること。

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コンデンサーの張替えが完了した基板。

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やる気満々の新しいコンデンサーたち。

あとは、元通りに本体を組み立てるだけ。あんまりあせると、ネジの数が合わなくなったりする(^^;)ので、要注意。

結末

それではと、期待に胸を膨らませて、組み上げたAs2さんの電源投入!!...お、全然変わらない(^^;)。

一体どうした?張替えは完璧なはずだったのに。

...恐らく、漏れ出した電解液が周辺の部品とか基板パターンを傷めているっぽい。

ということで、残念ながら今回のミッションは失敗。ここまでやってしまったからには非常に勿体無い感が強いので、次は基板の洗浄に挑戦してみる予定。

取り敢えず使っていた部品は、バックアップ用に保管しておいたOP-98/X10Wさんに移植して事なきを得ている。

このOP-98/X10Wさんは、スペックがAs2さんと全く同じなのだが、基板上のコンデンサーは黒いタイプでなく白いタイプだった。このコンデンサーは液漏れしないらしい。業務用とコンシューマ用の差別はいかんぜよ>NEC。

後日談(2008年02月23日)

部屋の片隅で放置プレイ状態のAs2さんの基板洗浄に挑戦。

基板だけ取り出して、バックアップ電池とか取り外せるものは極力取り外して、風呂場に持ち込んで洗浄

  • シャワーでぬるま湯をまんべんなくかける
  • 中性洗剤というか、食器洗いの洗剤を少しかけてやる
  • 不要になった歯ブラシで、基板の接点等をキレイキレイする
  • 再度シャワーでぬるま湯をかけ、洗剤をしっかりと落とす
  • キッチンタオルで基板の水分をふき取り、ヘアードライヤーで少し乾かす
  • あとは気長に陰干しし、水分を完全に飛ばす

水分は完全に飛ばさないと、無用のトラブルを招くので注意すること。

As2さんを組み立て直し、電源を投入...無事に起動。で、試しにリバイバル版ザナドゥをインストールして起動...

お、直った(^^)。リバイバル版ザナドゥは、音源の変更ができるので、26音源と86音源のそれぞれ切り替えてみたが、全く問題なく音が出た。やったね!!

ということで、もし同様のトラブルに見舞われた同士諸君は、是非とも自己責任で挑戦してくれたまえ。当然ながら俺様は責任もたないんで、よろしく(^^;)。