286搭載だったPC-9801にWin95をインストールする方法

会社で使用していたNECのPC-9801EXが廃棄となったので、かっぱらって(^^;)あれこれいじった結果、ついにWin95のインストールに成功。まぁ、パフォーマンスはご想像の通りダメダメなんだけど、とりあえず記録だけは残すということで。

その1~PC-9801EXとの出会い

PC-9801EXという機種は、ノーマルの状態だとCPUは80286(12MHz)、メモリは640KBという、今となっては例え様の無い素晴らしいスペック。購入時は、今は亡きICMの80MBの外付けHDD(確かSASI)と、メルコのCバス用増設RAMボード2M、そしてプリンター込みで確か60万円位したはず。それに四太郎とかNINJAとかインストールしてこき使っていたけれど、ご時世というかウィンドウズマシンに取って代わられ、淋しく会社倉庫で休眠という状態。

それを自分の所属している部署で引き取り、会社の金でパワーアップして最近まで使用。パワーアップの内容は以下のとおり。

  • CPUについては、いくらなんでも286じゃDOSも厳しいだろうということで、福井電機産業のPC-9801EX用アクセラレータボード「DX486」(CX486SLC?で倍速クロック動作、コプロ付き)を通販(当時としてはかなり安かった)で購入し、換装
  • メルコのCバス用増設RAMボードの「EMJ8000」と「EMJ4000」をペアで購入し、取り付け
  • MS-DOS5.0を導入し、五太郎DOS版やLotus1-2-3(R2.3J)をインストール
  • 外付けHDDが、不良クラスタ多発でいかれてきたので、SCSIにでも交換してみようとメルコのSCSIボードであるIFN-92Sと、外付けHDDとして同じくメルコのDSC257を購入
  • 最後に、秋葉原のソフマップで購入したIOデータの「PK486S50」(IBMの486SLC2で4倍速=48MHz。何と新品で1,980円!)を装着。...それなりに使える(^^;)

ここで、PC-9801EX及びIFN-92Sボード、PK486S50の勇姿。

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PC-9801EXの雄姿。

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メルコのSCSI-2ボード。

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CPUアクセラレータ。

サイリックスのシール(PC-9801EXに貼っている丸いやつ)に注目。まぁ、DOSだけ使うんだったらまだまだイケルとは思うけど...

その2~Win95導入開始

というわけで、Win95をインストールする前に、今一度現状スペックの確認。

  • 機種名:NEC PC-9801EX(改)
  • CPU : IBM486SLC2(4倍速、12MHz×4で48MHz相当、コプロ付き)
  • メモリ : 12MB(Cバス)
  • HDD : メルコIFN-92S+DSC257(257MB)
  • グラフィック : 640×400、16色...

...はっきりいって、全部ボトルネックかも(^^;)。

  • とりあえずHDDをまっさらにしたいので、FDISK&FORMATを実行しようとPC-98×1用のWin95起動ディスクをセットして電源ON。しかし、「このバージョンのWindows には 386 以上のプロセッサが必要です.」というメッセージが表示され、全く先に進まない。おかしい。一応486相当のCPUなんだけど。どこかで判定しているのか?
  • しょうがないので、今度はMS-DOS5.0のディスクでブートし、HDの初期化を行なった後Win95のシステムディスクのファイルをそのままHDDのディレクトリにコピーした
  • MS-DOSをブートした後、Win95のファイルをコピーしたディレクトリに移動し、SETUP.EXEを実行すると、今度は「himem.sysがありません」というメッセージ。メモリマネージャが必要なのか...
  • 今度はCONFIG.SYSに「DEVICE=HIMEM.SYS」の一行を追加し、再起動したけど「エラー:A20ラインの制御ができません.XMSドライバは組み込まれませんでした.」というメッセージ。これはもしかしてHIMEM.SYSがCPUアクセラレータに対応していないのか?
  • ということで、次にHIMEM.SYSに代わるメモリドライバとして、今度はメルコの増設RAMボードについていたMELEMM.386というメモリマネージャを組み込む。ブートするとちゃんとA20ラインの制御ができているようだ。よしよし、セットアップはうまくいくかな...と思ってたら、なぁんとセットアッププログラムが「メモリマネージャにmelemm.386が使われています.インストールを中止します.」と表示して先に進まない。もはやマイクロソフトの陰謀?
  • 最後の手段として、CPUアクセラレータに付属のPKXMS.SYSというメモリドライバを組み込んでみる。すると、何ともあっさりとインストールが進行。最初からこれにすりゃ良かった...
  • ところでインストールの際には、CPUキャッシュ制御プログラム(PK486SQ.COM)を最初に実行しておいた方が、ファイルのコピー等がさくさく進むのでお勧め。また、いわゆるWin95のOSR2はインストールできないようだ(最初のうちはファイルのコピーを正常に行なうけど、進捗が8%位のところでファイルのコピーができませんというメッセージとともにインストールが中断。どーすれば回避できるのかね)
  • ファイルのコピーも順調に進み(といっても相当時間がかかった)、コピー完了後自動的に再起動したところで、何と最初に出くわした「このバージョンのWindows には 386 以上のプロセッサが必要です.」のトラップが出て、先に進まない...

その3~苦闘=正味3時間

ここでにっちもさっちもいかなくなってしまい、インターネットの検索エンジンでキーワードを「386以上のプロセッサ」とし、サーチ!!...で、解決策発見(^^)。

  • そのホームページに書いてある情報によれば、Win95は最初のブートの段階でIO.SYSがPC98のBIOSのワークエリアを参照し、そこの内容でCPUを判別するとのこと(MS-DOS6.2も同じらしい)。つまり、PC-9801EXはもともと286なマシンのために、BIOSは当然CPUが286という答えを返すようで。よって、IO.SYSの内容を直接書き換えて、CPUチェックを行なわないように騙せばOK
  • 早速エラーメッセージを表示したまま放置プレイ中のPC-9801EXに、MS-DOSの起動ディスクをセットしてリセットし、MS-DOSを立ち上げてHDD内のルートディレクトリ内にあるIO.SYSのファイル属性を変更したあとに、バイナリエディタを起動して修正。これで再起動すればうまく行くはず

(注) IO.SYSを書き換える個所だけど、Win95あるいはMS-DOS6.2の同じバージョンであっても若干位置が違う場合があるみたい。具体的には、バイナリエディタで「B8 00 00 8E C0 26 A0 80 04 24 03 3C 03 74 2F」という個所をサーチし、最後の「74 2F」を「EB 2F」に書き換えればOK。

MS-DOSの起動ディスクを抜いて、リセット!!...やったWin95が起動した!!ばんざーい!!

  • 最初の起動後、暫く各種設定をだらだらとやっているようで、いい加減かったるくなってきたところ、ハードウェアの最終設定で気になるメッセージが表示された。「ディスプレイアダプタが見つけられない」というメッセージが。当然、Win95はデフォルトで640×480以上の解像度しかサポートしていないわけで、どうしたら良いもんかとまたまた悩むはめに。とりあえずスタンダードディスプレイドライバを選択し、インストール続行。最終設定もほどなく終了し、ついに、あの緑色のデスクトップが表示された
  • ここで再起動を行なってみると、起動時にやっぱり「ディスプレイアダプタに異常があります」というメッセージが出てくる。どこかに使えるディスプレイアダプタがないものかと、ベクターで探してみたら、「640×400ドット再利用計画」というディスプレイアダプタが。これぞまさに捜し求めていたソフト。さっそくダウンロードしてインストール。全く問題無しで立ち上がる(^^)
  • あと、Win95をインストール後、CONFIG.SYSに登録してあったCPUアクセラレータのキャッシュ制御プログラムは削除されてしまう。このままだと遅くてしょうがないので、キャッシュ制御プログラムをCONFIG.SYSに再度組み込むと、必ずシステムのプロパティで、「MS-DOS互換モード」の状態になってしまう。気分が悪いんで調べてみると、どうやらWindowsのフォルダの中にあるIOS.INIというファイルに問題のあるプログラム名を登録しておけば大丈夫みたい(いろんなMS-DOS用のプログラムが登録されている)

その4~やっぱ締めはこれっしょ!

というわけで、Win95のインストールも無事終了し、色々なユーティリティもインストール。シンプルなデスクトップにご注目(^^;)。640×400の画面が泣かせるでしょ?

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本当ならありえない解像度(^^;)のデスクトップ。

ところで、ここはやっぱりベンチマークでしょう。そこでベンチマークソフトの定番、「HDBENCH」(Ver2.61)をインストールして計測開始!!で、結果は...

堂々の300点台!!しかも、画面下が切れている。こりゃ全然駄目。

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ほぼ全ての項目で3桁の数値(^^;)。

ついでにCPUクロックも計測してみた。

...言うことなし。ちなみに、起動に要する時間はメモリカウントだけで40秒、SCSIの認識で15秒、最終的にWin95が使えるまで3分10秒「しか」かからない。

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起動するまでで一服できるかも(^^;)。

その5~有終の美

ということで、わかる人にだけわかるような記事になっちまったけど、楽しんでもらえただろうか?現在このPC-9801EXは、うちの餓鬼のおもちゃになっていたりする。たまにワードパッドで文章を入力したりするんだけど、日本語の変換があまりにも遅く、全く実用にならない。

今後の課題としては(まだやるのかよ)、拡張バス用のモデムを導入し、「インターネットマシン」に仕立て上げること。果たしてIEとかがまともに動作するのか楽しみ。ちなみに、Netscapeは640×480以上の解像度でないとインストールできない。

なお、現時点での不具合は特にないけれど、フロッピーが1.2MBなので他のパソコンとのデータのやり取りが面倒なこと、セーフモードで立ち上げようとすると強制的にHIMEM.SYSを読みにいき、そこでシステムが停止してしまう(これはかなり不具合?)こと、あと起動用ディスクは作成できるんだけど、やはりIO.SYSの書き換えをしないと、作成したフロッピーから起動できないことなどが注意点としてあり。

ここで教訓。「ハードのスペックを見極めてからOSを選択するべし」...当たり前(^^;)。

(後日談)結局その後、どうにも使えないんでそのまま処分決定...インターネットマシンとして活用する(?)夢もはかなく消えてしまい、とっても残念。